あれは中学生の頃。
近所のホームセンターの文具売り場だった。
なんで文具コーナーに行ったんだったっけ。
当時から何かしら文房具に惹かれていたんだろうな。
きっかけを思い出すと、小学生の時のこと。
当時あちこちに父親は旅行に行っていた。目的なんかは知るはずもない。
あるときお土産でボールペンを買ってきてくれた。
パーカーのボールペン。紺色の細軸の。
別の旅行でも色違いを買ってきてくれた。
シルバーの細軸。
小学生ってボールペンは使わないよね。
でもなにか高級な筆記具っていう感覚だけで、何となくうれしかったことを覚えている。
で、その時にパーカーっていうメーカーは筆記具では有名なメーカーだっていうことを知った。
そのとき、幼心にパーカーと高級筆記具への憧れみたいなものが植え付けられたんだろうな。
で、ホームセンターの文具コーナー。
何を買いに行ったか分からないけど、吊るしの商品の中に万年筆があった。
万年筆って映画とか漫画とかで見たことあるくらい、って思いながら手に取ってみると、なんとパーカー！
価格は1000円だったと思う。
売られていた万年筆はパーカーのそれだけだった。
万年筆がどんなものかは知らなかったけど、「万年筆」っていう響きにはどことなく憧れみたいなものを感じていた。
それは覚えている。
そんな憧憬をもっていた万年筆が、なんと文具コーナーにあった！
しかもパーカー！
普段使っている筆記具と比べれば多少高いけど、でもそれがたったの１０００円！
迷わず買った。
その後はホームセンターに行くたびに、もっと他に万年筆が入ってないか探した記憶。
それだけ初めて手に入れた万年筆がうれしかったんだろう。
で、そのころからずっと今まで物欲にあふれて収集癖があったんだろうな。
で、買って帰ってはじめてまじまじと見てみる。
本体のほかに見たことないカートリッジなるものが入っていた。
使い方の説明に、そのカートリッジを中に挿せって書いてあった。
挿してしばらく待ったら書けるって書いてあったけど、待てど暮らせどかけない。
で調べたら、インクが飛び散らないようにティッシュなどで覆って振れば出るって書いてあった。
やってみたらティッシュに見事にインクがべっとりと出てきた。
はじめてみるブルーブラック。
覚えているのはそこまで。
多分ワクワクして書いたんだと思う。
書いた感想の記憶はぜーんぜん無い。
感激したのかがっかりしたのか。
そのあと、どんな場面で使ったのか、何を目的に使ったのか、まーーーったく覚えてない。
ただ、スペアのカートリッジを差し替えた覚えはあるから、結構使ったんだと思う。
それが私と万年筆との出会い。
結構使ったはずなんだけど、その差し替えた思い出を最後に、私の人生から忽然と消えてしまう。
で会ったときの感激だけが、強烈に記憶に刻み込まれている。
それが時を経て、再び万年筆熱が再燃するのは次回に。
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