父親からのお土産で小学生時代に植え付けられたPARKERへの憧憬。
そして1000円で買った万年筆の思い出。
これが交錯して「万年筆が欲しい」と再び万年筆欲が沸き上がってきてた第二次万年筆ブームのはじめ。
文房具売り場を再び徘徊するようになっていた。
社会人になっていたから、近所の文房具店よりも、大型電気店のブランド品売り場とかデパートの万年筆売り場に暇があれば見に行っていた。
若かったから仏壇カラーの良さは全然わからなかった。
だからモンブランのマイシュターシュトゥックとかは全然目に入らなかった。
今思えば安かったあの時期に買っておけばよかった。
まあモンブランを見て、なんでこんな野暮ったいのがこんなに高いんだ?としか思ってなかった。
スーベレーンの縞模様もなんか好きになれなかった。
特に代表的な色の緑縞が展示されてることが多かったから、なんか野暮ったく見えた。
目に留まるのは特色的な軸を持つ万年筆に目が留まる。
小さい頃の憧れも含めてPARKERとかDELTAとか。
特にPARKERは良いものだという刷り込みがあったから、よく見ていた。
でいろんなところでSONNETのマーブル模様が緑、赤、青のバリエーションがセットで展示されていた。
値段は20,000円!高!!
万年筆沼にはまってしまった人から見ればマヒして感じないかもしれないけど、たかだがペン1本に万単位って、考えてみれば異常。
当時はまだ探し始めだったから、まだ感覚はそれほどマヒしていなかった。
でもめっちゃ気になっていた。買えなかったけど。
そんなあるとき、新潟に出張した。
そして帰りの新幹線まで時間の余裕があった。
例によって文具売り場を探した。
まあ、どこの文具売り場に行っても、品ぞろえの違いはあれど、似たり寄ったりのラインナップが展示されているのはわかっていたんだけど、それでも行かずにはいられない悲しい性。
で、まああるわけですよ、マーブルのSONNETが。
ただ、その時いつもと違ったのは青が無かった。
三本展示できるスタンドに赤と緑しかなかった。
その時、ハッと気づいた。
欲しいものも「売れてしまう」という、買う人・欲しい人が自分以外にもいるっていう単純なことに。
冷静に考えなくても、ここで売れたからと言ってこの世から物が無くなってしまうわけではない。
でも入ってしまった、変なスイッチが。
「買わなきゃ」っていう。
いつも3色セットで展示してあるものの一色が無くなっているのをみて、
「このグリーンマーブルは俺が買わなきゃ」って。
いわゆる衝動買い。買っちゃった。
こうしてお迎えしたPARKER SONNET マーブルグリーン。
ペン先が金っていうのも地味にうれしかった。
で、書き味は?
実は使えなかった。
もったいなくて。
はい、貧乏性です。
道具は使わなきゃ意味ないんだけど、所有欲が満たされると、傷をつけたりしてその所有欲を減退させるのがとても怖くなっちゃう質です。
でも使ってみたいんですよね。どんなんなんだろうって。
こんな時どうします?
私がどうしたかっていうと・・・
買いました。ラックブラックCT。
アホでしょ。
でもどうしても使ってみたかったんや。
でもすごくお気に入りのグリーンマーブルは使えんかったんや。
ということで、この後しばらくグリーンマーブルはお蔵入りとなり、眺めてニヤニヤするだけの日々に入りました。
まあ、結局は使ってみたい欲に勝てずに使うことになるんですけど。
で、そのSONNET。
何やら今のSONNETとはペン先が違うらしい。
どう違うかというと・・・
わたし、最近のSONNETは触ったことが無いのでYOUTUBEとかで仕入れた情報ですが、
昔のほうがニブが柔らかいとのこと。
で私のSONNETはというと、そこそこしなります。
書き味もかなり柔らかいです。
インクフロー豊かで、柔らかくしなやかに書けるSONNET。
大好きです。
あの時、思い切って買ってよかった。
ラックブラックCTの方は、何かの記念で後輩にあげちゃったので、今はありません。
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