万年筆の当りはずれって何?

万年筆

よく、万年筆は当たりはずれのある工業製品って言われる。
でもそれって、どういうことなんだろう?

自分の手持ちの万年筆を見渡してみても、はずれってあったんだろうかって思う。

中には全く書けないこともあるって聞くけど、もはやそれは当たりはずれではなく、事故品、不良品ともいえるクレーム対象で論外。
ということは、クレーム対象にはならないけど、限りなくそれに近いっていうのがはずれってことかな。
当り、はずれって書いちゃうとゼロイチの二択のように見えるけど、当りとはずれの間には無限のバリエーション、グラデーションがある。
そのバリエーションのうち、どの範囲までがはずれなのかは個人の感覚の問題。

で、実際にはずれってどんなのなんだろう。
主には書き味とかのニブの当たりはずれのことを言うんだと思う。

実は万年筆ではずれを引いたことはない。

というのは間違いで、正確には同じ型の万年筆で比較したことがないから、当りなのかはずれなのかわからずに、手元にあることで満足している。

一方、万年筆のニブは使い込むほど育っていくとも聞く。
私の場合は長い間使っている万年筆でも育っていると実感したことはまだない。
ただ、育つのだとすれば、現状がその万年筆にとってベストの状態ではないってことになる。
ではいつの段階で当たりはずれを判断したらいいんだろう。
これって矛盾しちゃうことが起きてる。

それだけじゃなくて、成長ってことは変化だから、その変化自体にも当たりはずれがあるかもしれない。変化は良くなっていくだけじゃなくて、劣化していくことはないんだろうか。

こんな際限のないことを考えるよりも、現状がベストなんだって思った方が良いんじゃないかな。

何本も同じ万年筆を比べられれば、その中でのベストを見つけられるけど、そんな機会はそうそうないよね。
それに加えて、万年筆はインクとの相性、紙との相性でも印象がガラッと変わっちゃうから簡単ではない。
でもその特性は、どんな個体でもベストの相性を見つけられれば自分にとってのベストにはなりそうだ。
当たりはずれもある程度は自分次第なような気がする。

なーんて言いながらも、「これははずれなんじゃないか?」って疑っている手持ちの1本がある。
それは Noodler’s Ink の Ahab。
フレックスニブで有名な1本。
これも、他の Ahab と比べたことがないからよくわからない。
でもペン先がとても固いし、猛烈にカリカリする。引っかかると言ってもよい。
ものすごい筆圧でスリットを開くと、今度はインク供給が追い付かずにかすれる。
こういうものなのだろうか。
Ahab どうしで比べない事には何ともわからない。
手持ちの他の軟調ニブとは比べるまでもない。
エラボーのようなしなやかさも、FPRのスーパーフレックスのような柔らかさも全くない。
プラチナのようなカリカリするような万年筆を、筆圧をかけて無理やりしならせて書いてる感じ。
これがはずれなのか、使用なのかはなぞ。

まとめ
万年筆の当たりはずれって分かりようがないと思う。
あるのは現段階の正常品か不良品かくらいじゃないかな。

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